相馬看花 第一部 奪われた土地の記憶
(C)松林要樹
タイトルは中国の故事「走馬看花」から来ている。元は、馬を走らせつつ花を見る、つまり大ざっぱにしか観察せず、理解の仕方が浅いの意である。しかし、ジャーナリストの故・橋田信介は、たとえ馬に乗っていても、花を見逃さないのがよきジャーナリストだとしてこの言葉を読み替えた。
南相馬の江井部落。津波と放射能汚染と強制退去で様変わりしてしまったこの地域に、松林要樹監督は救援物資を携えやって来る。市議会議員田中京子さんとの偶然の出会いから、彼の取材生活が始まった。被災の後に流れる特異な時間を現地の人びとと共に生き、その表情と肉声を間近から捉える。ニュースでも報道でもない、福島の「映画」の誕生。